ユニットバスをお使いで、浴室のリフォームをお考えの方も多いでしょう。
いろいろと調べているとFRPという見慣れない素材の名前をよく見かけるかと思います。
FRPとは繊維強化プラスチックのことで、ユニットバスに非常に多く使われている素材です。
機能性の高いFRP浴槽ですが、長く使用することでひび割れや汚れが出てきてしまうこともあります。
そこで今回は、FRP素材を使った浴槽の劣化の原因や補修方法について詳しくご紹介していきます。補修や交換にかかる費用の相場や業者に依頼する際のポイントについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
浴槽が劣化する原因
FRP素材を使った浴槽の特徴は次の3つがあります。
- 防水性が高い
- 軽量なのに丈夫
- 補修がしやすい
かなり耐久性に優れた素材ではあるものの、どうしても劣化はつきものです。
そこでここからは、FRP浴槽が劣化してしまう3つの原因についてみていきましょう。
原因その1|ユニットバスの耐久性は10〜20年
ユニットバスの耐久性は、日頃の使い方やメンテナンス状況、そして製造方法によっても差はありますが、大体10〜20年ほどで劣化によるひび割れ(クラック)などが生じるといわれています。
多少のひび割れであれば問題なく使うことができますが、ユニットバスの塗装が取れてしまうと水漏れの原因となってしまうので注意が必要です。
次の章で詳しくご説明しますが、ダメージが比較的少ない状態であれば修復できるのがFRP浴槽の大きなメリットです。
原因その2|膨張を繰り返すことで劣化する
FRPは、プラスチック樹脂の素材です。
そのため、温かいお湯や熱いお湯を張ることで素材が膨張する性質があります。
お湯を張るごとに膨張し、元の状態に戻ることを繰り返しており、その度に強度が落ちてしまうのです。
強度が落ちた浴槽は、体重や水の重さに耐えることができずにひび割れを起こしてしまいます。
原因その3|コーティングが剥がれてしまう
FRPには表面には汚れが付着しにくいように特殊なコーティング加工が施されています。
しかし、長期間使用することでそのコーティングが剥がれ、水垢や汚れがつきやすくなってしまい、その結果見た目が悪くなってしまうことがあります。
しかし、この場合はコーティング剤を塗り直すことで新品と同じように使えるようになることもあります。「劣化し始めたかも…」と感じたら、なるべく早い段階で施工業者に相談しましょう。
FRP浴槽が劣化したときの補修方法
FRP浴槽が劣化した際は「ライニング工式」という方法で補修していきます。
通常、壁などのヒビは、パテなどを使用してヒビを埋めるのが一般的です。
しかし浴槽の場合は、ただ埋めただけでは再度ヒビが発生してしまうので注意が必要です。
ライニング工式では以下の手順で補修を行います。
【ライニング工式の補修手順】
- ひび割れ・クラックの部分をFRPシートで覆う
- 不飽和ポリ樹脂を塗り込み、FRPシートと同化させる
- 表面を平らにするためにサンディングを行う
- パテを充填し、表面を平らな状態に加工する
- 塗料を吹きかけて塗装し、完成
このように、ライニング工式とはお使いの浴槽のキズのある箇所に新しい層を重ねていく補修方法です。
とても薄い層のため、凹凸などを感じることなく補修ができます。
しかし大きなひび割れやキズの場合は、この方法では補修ができなかったり、補修ができたとしても、かなりの費用がかかってしまったりすることがあります。
そのため破損が大きい場合には、FRP浴槽を交換するかユニットバスごと交換する必要があることも念頭に置いておきましょう。
FRP浴槽のみを交換する場合の価格相場
浴室には「在来工法」と「ユニットバス」の2種類がありますが、どちらの浴槽タイプでも浴槽のみの交換ができます。
また浴槽の設置方法は大きく分けて3種類あり、それぞれに必要な工事や施工の価格に違いがあります。
【浴槽の設置方法】
- 据え置きタイプの工事費:4〜5万円
- 埋め込みタイプ、半埋め込みタイプの工事費:10〜15万円
- 工期:1日前後
上記の工事費用に、浴槽の価格が加わります。
FRP浴槽は安いものでは3万円程度、高いもののでは30万円以上するタイプもあります。
そのため総額にすると安い場合は10万円弱、高い場合では50万円程度の費用がかかります。
予算に応じて好みの浴槽を選んでいきましょう。
一点注意したいのが、ユニットバスに何かしらの不具合がある場合は、浴槽だけでなくそのほかの部分にも不具合が生じている可能性が高いです。
そのため、浴槽のみの交換で問題がないかも施工業者にチェックしてもらうようにしましょう。
FRP浴槽のあるユニットバスを全体で交換する場合の費用
浴槽だけでなくユニットバス全体を交換する場合の相場や工期は以下の通りです。
【ユニットバス全体を交換する場合の相場と工期】
- ユニットバス交換費用の相場:50〜150万円
- 工期:4日前後
ユニットバスからユニットバスへの交換は、解体工事から電気や配管工事などさまざまな工程が必要です。そのため、最低でも4日程度の期間は浴室が使えません。
交換費用の相場に大きく開きがあるのは、ユニットバス本体の費用の差によるものです。
ユニットバスには、大きく分けて3つのグレードがあり、備え付けの機能などが異なります。
【ユニットバスのグレード】
- ローグレード:シャワーや水栓が簡易的で浴槽や床の断熱材がないもの
- ミドルグレード:断熱材入りの浴槽や床で真冬も快適に入浴できるもの
- ハイグレード:ラグジュアリーなデザインと使い勝手のよいシャワーやジャクジー、ミストサウナなどが設置されているもの
グレード別のユニットバスの相場は次の通りです。
グレード | ユニットバスの広さ | |
0.75坪 | 1.0坪 | |
ローグレード | 50〜70万円 | 60〜75万円 |
ミドルグレード | 65〜80万円 | 70〜90万円 |
ハイグレード | 90〜110万円 | 95〜120万円 |
そのほかに、共通してかかる施工費の内訳は以下の通りです。
【工事費の内訳】
- 解体工事:8〜10万円
- 搬入や搬出のための仮設工事:2〜3万円
- 洗面所内装の補修工事:3〜5万円
- 解体した壁の作り直し:3〜5万円
- 電気工事:3〜5万円
- 配管工事:6〜8万円
- ユニットバス施工費:8〜10万円
FRP浴槽を補修する場合にかかる費用
FRP浴槽の補修方法は大きく分けて2つの方法があります。
それぞれの費用相場は次の通りです。
【FRP浴槽の補修方法】
- ひび割れ補修:4万円
- 浴槽全体の再塗装:10万円
ひび割れ補修の場合は、小さいもので4万円程度かかるのが一般的です。
価格は一番抑えられえるものの、補修したところだけ他の部分と色味が異なるため目立ってしまうというデメリットがあります。
ひび割れの補修だけでなく、浴槽全体を美しく仕上げたい場合には、浴槽の再塗装がおすすめ。
再塗装することによって汚れがつきにくくなるだけでなく、つやも出て触り心地がとてもよくなります。この再塗装はおよそ10万円前後のコストがかかります。
ひび割れの補修と再塗装を依頼すると総額で10〜20万円程度かかるのが一般的です。
あまりにも安い価格を提示する業者には注意しましょう。
浴室のリフォーム方法のなかには、環境に優しく手軽に行えることをコンセプトにしたエコバスリフォームと呼ばれるものがあります。
エコバスリフォームは、低価格、短工期、部分的に行える点でメリットがあります。
エコバスリフォームについて興味のある方は、詳しくまとめた下記記事をご覧ください。
エコバスリフォームとは何?費用やメリット・デメリットについて解説
FRP浴槽はDIYでも補修できる?
キズの補修や浴槽・ユニットバスの交換には、コストがかかります。
最近では、ネットショップやホームセンターでもDIYのための材料や工具が販売されているため、ご自身でリペアしたいとお考えの方も多いでしょう。
しかし結論から言うと、浴槽の補修は素人ではかなり難しいため、業者に依頼するべきでしょう。
そこでここからは、FRP浴槽を業者に依頼すべき3つの理由について解説します。
理由その1|技術と経験が必要だから
浴槽の補修には、高い技術力と経験が必要です。
最近ではYouTubeなどの動画サイトでもDIYの方法の解説などもありますが、DIYによる補修はあくまでも応急処置と考えておきましょう。
ひび割れの補修として耐熱アルミテープを貼る方も多くいますが、それだけでは不十分で、水漏れや更なる劣化を引き起こしかねません。
自分で判断せずに、信頼できる業者に依頼することが大切です。
理由その2|市販の塗装剤は効果の持続期間が短い
FRPの塗装材はホームセンターなどでも販売されており、気軽に購入できます。
しかし、市販のアイテムは1年程度で劣化するものが多く、頻繁に塗装しなければなりません。
自分で塗装したとしても、均一に塗装できないと肌触りも悪くなりざらつきを感じてしまいます。また、何度か塗装を繰り返す必要があるため、数日間はお風呂が使えないということも起きてしまいます。
そして、すべての作業を終えるまで数日かかることもあります。
このように自分で浴槽の塗装をしても、結局時間もお金もかかってしまうので、最初から業者に依頼した方が一番コスパがいいといえるでしょう。
理由その3|余計な費用が発生してしまう可能性がある
自分でDIYするためには、専用の塗装材や工具が必要です。
浴槽のリペアのためだけにそれらを購入するのであればもったいないですよね。
また自分で作業することで、より一層劣化が進んでしまうことも考えられます。
劣化がひどくなった状態で業者に依頼すると、余計な出費が発生する可能性も高くなります。
そのため、初めから業者に依頼した方が安く収まることも多いので、素人の方はまず早い段階から業者に相談し、見積もりを依頼しましょう。
FRP浴槽の補修を業者に依頼するときのポイント
FRP浴槽に限らず、あらゆる補修や工事を業者に依頼する際に気をつけるべきポイントがあります。そこでここからは、業者選びを失敗しないためのポイントについてご紹介します。
ポイント1|安心のアフターフォローがある業者を選ぶこと
いくら実績がある業者であっても、使用する材料や素材が浴槽のFRPと合わないこともあります。
その場合、稀に補修した部分や塗装が剥がれてしまいます。そのため多くの業者では保証期間を設けていて、何かしら不具合があった場合に対応するアフターサービスを実施しています。
このアフターサービスがない業者に依頼してしまうと、何かトラブルが発生しても無料で対応してもらえないので注意が必要です。
補修や塗装を依頼する前には、必ず以下の2点を確認しましょう。
【依頼前の注意点】
- アフターサービスの有無
- どの程度保証期間があるか
技術に自信があるからこそ、保証期間を設けることができます。
そのため、アフターサービスを設けている業者は信頼できる証です。
2年前後の保証期間を設けている業者を選ぶようにしましょう。
ポイント2|浴槽のリフォーム実績の多い業者を選ぶこと
FRPの塗装や補修は簡単にできるものと思われがちですが、均一に塗装するためにはかなりの経験が必要です。
さらにライニング工式でキズやひび割れの補修をするには、それ以上の経験と技術が求められます。
そのため浴室リフォームを手がけている業者であれば、どこに依頼してもいいという訳ではありません。
満足のいく仕上がりを求めるのであれば、浴室リフォームの実績がある業者を選びましょう。
この実績の有無を確認する基準として、次の項目をチェックしましょう。
【業者の実績を確認する基準】
- 少なくとも5年以上の実績がある
- コンプレッサを使用した施工方法である
最低でも5年以上の実績のある業者に依頼することをおすすめします。
この理由は、クレームやトラブルが頻繁に起こる業者であれば、3年足らずで撤退していることが多いからです。
また塗装をする際にコンプレッサを使用しているかどうかも、技術力をチェックするために重要なポイントです。
刷毛やローラーを使用して塗装する業者もありますが、コンプレッサとの違いは一目瞭然です。
肌触りも非常になめらかに仕上がります。
実績がない業者は、相場よりも安い価格を提示してくることが多くあります。
しかし塗装がすぐに剥がれたり、ヒビが再発してしまったりするなどのリスクがあるので注意が必要です。
ポイント3|必ず複数の業者で見積もりを取り比較すること
同じ補修や作業であっても、費用や方法は異なります。
そのため業者に依頼する場合には、必ずあらかじめ複数の施工業者から見積もりをとって、比較検討することが重要です。
しかし早急にリフォームをしたい方にとって、複数の業者に問い合わせをするのは面倒に感じてしまうかもしれません。
しかし、リフォーム後に後悔しないためにも、業者選びは慎重に行いましょう。
1社のみの問い合わせでは、相場もわからないまま相手の条件を呑んでしまうことにもなりかねません。
少なくとも2〜3社に問い合わせをして、見積もりを取るようにしましょう。
そして業者とのやりとりをしている中で、よりいい提案をしてくれる業者や親身に対応してくれていると感じた業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?FRP浴槽の劣化原因と補修方法について詳しくご紹介しました。
FRP浴槽を補修するためには高い技術力と経験が必須です。
そのため、リフォームは信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
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